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自衛隊警務隊逮捕術

…警務隊長は語る。「我々警務官は平素の暮らしの中で規律違反や、犯罪への対応をしているが、今やその平素が有事に近い。…相手にする犯罪者、犯行形態は多様である。そうした事態に立ち向かえる意欲と能力を持った人材がこれからますます必要になる」〈本文より〉







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2004(平成16)年の映像紹介
平成16年防衛庁記録 - YouTube

 

「まあいいじゃないか」の伝統

 

 さて、いまどきの話題は「憲法改正」や「防衛費の倍増」かと思っていましたが、公明党の意見はすごいですね。聞いていると、「GDPのまあ1%が目安でしょう」と責任者がおっしゃっています。いやはや、自民党と連立政権をになう方々です。これでは、うまく防衛費の増額すら運ばないでしょう。

 

 先日は、元統幕長の河野元海将の痛快な指摘がありました。「改憲論議の敵」はむしろ保守層の中にある「まあ、いいじゃないか」という気分だそうです。「自衛隊も認められてきているからいいじゃないか」などというとぼけた意見です。そうした気分が、いまひとつ改憲論議、とりわけ第9条への意識が問題だなと思っています。

 

 いつの頃からか、たぶん昭和20年代の自衛隊発足から、今に至るまで「専守防衛」ということがいわれます。具体的には「撃たれてから反撃せよ」ということです。決して先に手を出してはいけない。

 

BMDの運用議論でも、相手のミサイル基地で発射準備の動きが始まったときか、ミサイルへの燃料注入が始まったときか、注入が完了したときか、発射されたときか、ミサイルが上昇中で、合理的な判断でわが国を狙っているのか、あるいは同盟国を狙っているのか・・・細かい議論が延々と続きます。

 

そうした背景には徹底した議論を嫌い、いつも相手の気持ちに忖度するといった、ある意味「日本人の美風」もあるのでしょう。それを少しずつ、少しずつ崩してきたのが自衛隊の努力であり、政権与党の方々の現実認識への対応だったと思います。

 

わざわざ戦力を落とす

 

だいぶ昔のこと、F4ファントム戦闘機の導入が始まったとき、航続距離が問題になりました。米軍の仕様には当然、空中給油システムがついています。行動する半径を大きくするため、あるいは乗員・機体の安全のためには燃料を増やすことが必要です。しかも、飛行中に給油できることは素晴らしい解決策でしょう。

 

ところが、これに当時の大野党、社会党が噛みついたのです。「周辺諸国に脅威を与える」という論理でした。「相手は(具体的にはロシア=当時のソ連)どう思うか。脅威と受け止め、戦争になるのではないか」と言うのです。結局、国会で大騒ぎになった末に、空中給油装置を取り外すという愚挙で決着しました。

 

このときの社会党の支持者たち、組合員、マスコミの「勝った、勝った」という表現にはほんとうに驚きました。もちろん、共産党の機関紙「赤旗」は「軍国主義復活への道の一部を断った」と大喜びでした。

 

「まあいいじゃないか。基地に戻れば給油もできるだろうし。ファントムがないよりましだろう」という気分があったに違いありません。

 

潜水艦のこと

 

原子力というとそれだけで目くじらを立てる方がいます。「世界で唯一の被爆国」ということ、悲惨な広島・長崎を思えば・・・ということで理解はできますが、原子爆弾とその運用が問題なので、動力や発電力に使うこととはあまりつながらないと思います。核兵器の現状に限れば、周辺諸国はほとんどが装備しているのが現状です。ミサイルだけではなく砲弾にも核が使われています。

 

 

とりわけわが国のような海上輸送力に支えられている国にとっては、輸送路の安全確保が必須のものです。その輸送路を守るために、わが海自は通常動力の潜水艦隊をもっています。地味で、存在を大きくアッピールすることもなく、海自の潜水艦の乗員は「深く、静かに」潜航し、わが国を脅かす原子力潜水艦の群れに備えているのです。

 

通常動力型潜水艦とは、浮上中にはジーゼル・エンジンなどで航行し、潜航する時には蓄電池を使って動きます。おかげで水中での速度は原子力潜水艦に対して、ひどく劣ります。燃料補給もしなくてはならず、航続距離も小さくなるのです。

 

そうした自衛官たちへの不当な待遇も、「まあ、いいじゃないか」という気分で抑えてきたことが、いまだに解決されていません。

 

自衛隊をどうみるか?

 

 14日(日)、産経新聞に山上論説委員による世間の意見の紹介がされました。近頃刊行された、ミリタリー・カルチャー研究会によるアンケートと分析の結果です。興味深い数字が出ました。今年の1月から2月にかけて、日本に住む15歳以上の人を対象に無作為抽出した郵送調査の結果です。

 

 「自衛隊に関心がありますか?」に対して、非常にある、ある程度関心があるという人の合計はおおよそ6割強でした。あまりと全くの関心がない人は3割強存在します。では、関心をもつきっかけになったのは?と2つまで選べる11の設問で最多が「災害救援活動」で次が「日本の安全保障や防衛政策」でした。

 

 「自衛隊の存在そのものを肯定か否定か?」という問いには、「どちらかといえば肯定」も含めて8割を超えた回答がありました。すごいなと思ったのは、「肯定」が5割を超えました。「どちらともいえない」が17%ほど。否定はたった1.7%でしかないのです。

 

 つまり国民の半数は自衛隊を支持し、「どちらともいえない」という含みがある答えが2割ということです。

 

正確な判断情報はどこから

 

 さて、防衛力の整備がどうされているか。これを「防衛計画の大綱」のもとだと知らない人が77%にものぼっています。このことは、わたしにとっては、大変興味のある数字です。この記事を読んでくださっている方々は、おそらく常識としてご存じでしょう。問題は、いつも総務省の調査の設問、「装備や組織の現状についてどう思うか?」に対して、もっとも多いのが「いまのままでいい」という答えです。

 

 これはおそらく自衛隊に関心がないというより、そうした国家の財政支出の仕組みが理解できていないか、防衛政策などの高度な問題を考えられない人がいるとわたしは理解しています。おそらく国家安全保障会議についても、その機能と構成、役職者などについてもまったく知られていないのでしょう。

 

憲法9条について

 

 変更しない・・・という人が22%弱。つまり5人に1人は9条改正反対。ただし「2項をそのままに、自衛隊の保持その他を加える」も20%弱。さあ、次もわたしにとっては問題です。「専守防衛に徹する自衛隊を憲法9条に明記する」、これも20%強。

 

 

 ところが、もっとも大きな改正を願っている人々かと思わされる「集団的自衛権を憲法9条に明記する」が10%強もあり、「削除する」という強硬意見も3%です。もちろん、「分からない」が最多の24%弱でした。この「分からない」も魔法の言葉です。

 

 いずれであれ、「憲法9条をそのまま守ろう」という人は改正に賛成する人に比べれば、ずいぶん少ないと思えます。

 

戦争になったら

 

 この設問が興味深いです。「もし、日本が武力紛争にまきこまれた場合、あなたはどう行動すると思うか?」という書きぶりです。この「まきこまれる」というのが、いかにもな発問に思われます。まあ、わが国が積極的に他国へ武力紛争をしかけることは、その意思も、能力もない(はず)です。

 

 

そうなると、具体的にはわが船舶や航空機がどこかの国の武力発動の対象になる(これは攻撃されるということで「まきこまれる」とは違うと思いますが)ことをいうのか。また、どこかの軍隊が、わが国固有の領土や領海に攻撃をしかけてくるかという事態でしょうか。

 

 

答えは、最多が「その時になってみないとまったく分からない」が30%強。「もっぱら自分自身や家族の安全を考えて行動する」が26%弱。「政府の指示通り行動する」という秩序重視派が14%弱。中には勇ましい「自衛隊に志願はしないが、自衛隊の作戦を積極的に支援する」という方が10%強もおられます。

 

わたしは、このアンケートの結果を、とても健全だなと思いました。山上直子論説委員は、「自分だけがよければいいのかという疑問も生じた」といわれ、「公という意識の希薄さも感じる」といわれています。

 

でも、戦前、戦後を通じて、我が国民はあまり変わらないのではありませんか。「その時になってみないと・・・」というのは大変正直だと思います。だって、戦争とはどんなもので、どのようにふだんの暮らしに変化が起こるのか、考えても分からないのが実態でしょう。

 

「政府の指示通り行動する」を選んだ方は、現在の統治機構や政治の仕組みに信頼感をもっているということです。さらに「自衛隊に協力する」という方が1割も国民の中にいるという。これは山上論説委員には申し訳ないけど、「公」という意識が高い人が、「政府の指示に従う」人と合わせると国民の4人に1人もいるのです。

 

アンケート処理の難しさ

 

 せんだっての総選挙で、主に出口調査を重視した結果と思われますが、マスコミの多くは予想を外しました。立民と共産党が躍進、自民が惨敗・・・のはずでした。少なくとも出口調査の結果です。

 

 だって・・・とわたしは思います。出口調査に協力する人はマスコミに対して、何らかの強い思いがある人です。わたしも期日前投票に出かけたときに、新聞の腕章を巻いた人から協力を頼まれました。わたしは家族にさえ、自分の投票先を明らかにしたこともありません。だからお断りしました。

 

 

 ところが、声をかけられると、いそいそと答える人、むしろ堂々と投票先を支持した理由を答える人が多いのです。それは、その方の自由なのですが、そうした人ばかりが「国民の代表」ではありません。やはり、投票行動や意見の表明に「思い」がある方が調査に協力されるのでしょう。

 

 このミリタリー・カルチャー研究会のアンケートも同じです。郵送調査ですから、回収率も分かりませんが(刊行された本にはあるでしょう)、少なくとも設問を読み、考え、記入し、封をして投函するといった方は、やはりある「思い」を持つ方だと思えます。

 

 研究会は「京都大などの研究者」だそうですから、そのことに「思い」をかけて答える方々もいたかも知れません。無作為抽出としても、答えにはあるバイアスが必ずあるものです。もちろん、そんなことは分かっていて処理もされるのでしょうが、アンケートは難しいとだけしか言えません。

 

16年度の映像

 

 内容は従来の踏襲です。装備品の解説、紹介もなく、ただひたすら政府見解にのっとった自衛隊の紹介でした。防衛庁・自衛隊50周年にあたる年です。

 

 イラク復興支援の紹介があります。「ヒゲの隊長」と、当時は人気を博した佐藤正久参議院議員が指揮官として若々しい姿を見せてくれています。東ティモールへの施設群派遣も活動を終わりました。

 

 今回は映像の紹介にも目新しいものもなく、河野元統幕議長のご発言と「日本社会は自衛隊をどうみているか」に関しての記事紹介になってしまいました。

 

 

 

(あらき・はじめ)

 

 

 

 

(令和三年(2021年)11月17日配信)

 



著者略歴

荒木 肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、同大学院修士課程修了。 専攻は日本近代教育史。日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を行なう。横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝状を受ける。 年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、講話を行なっている。

著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして軍隊をつくったのか─安全保障と技術の近代史』(出窓社)、『現代(いま)がわかる−学習版現代用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古い!─昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震災と自衛隊─自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気と軍隊『日本軍はこんな兵器で戦った−国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊警務隊逮捕術』((並木書房)がある。







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